。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
『…なんか悪いな。心配かけちまって』
「ううん…こっちこそ」
目の前の桜のジオラマに、あたしは戒の顔を思い浮かべた。
人なつっこいあの屈託のない笑顔。
少年みたいな……明るい笑顔。
掌を掲げると、薬指にはめた桜の指輪が部屋の照明を受けてきらりと輝いた。
あ…きれい―――……
今……気付いた……
叔父貴が作らせた精巧な桜のジオラマよりも、戒がくれたその小さな指輪の方が輝いてきれいに見えた。
ずっとずっと近くにある気がする。
指輪を見ていると、心がほんわかと温かくなって、もっとずっと戒の声を聞いていたくなる。
今?……ううん。
もうたぶんずっと前から気付いていた。
「―――戒……
あたし…あんたのことが好」
あたしの言葉を最後まで言い切らないうちに、叔父貴の低い声がすぐ近く……本当にすぐ近く、あたしの耳元でそっと囁いた。
「何をしている」