。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。


あたしは目を開いて、固まった。


風呂あがりの叔父貴はバスローブだけを身に纏い、あたしのすぐ後ろ…本当に肌と肌が触れ合いそうな至近距離に居た。


いつの間に………


ごくり…と喉が鳴った。


『もしもし!朔羅!?』


急にあたしが黙り込んだからか、戒の緊張を帯びた問いかけが受話口から洩れてきた。


「あのクソガキと電話か?」


何も答えられないで固まったままでいると、叔父貴はそっとあたしの手からケータイを抜き取った。


そのまま電話を切ると思いきや、叔父貴はそれをベッドの上に置いて、あたしの腕を引いた。


それほど力が籠っていなかったにも関わらず、あたしはあっさりとベッドに押し倒された。


叔父貴があたしの両手首を掴んで、あたしの上にのしかかりながら、覗き込んでくる。


ギシ…


ベッドのスプリングが軋む音がしてぞくりとした。


風呂上りの、まだしっとりと濡れたままの髪。後ろに撫で付けてあった髪は前におりていて、髪の先から雫が垂れようとしていた。


叔父貴は―――こんなときでもびっくりするぐらい美しかった。


完成された大人の男の美に、心がざわめく。


それは見惚れるとかじゃなく、その美しさの向こう側に妖しく光る何かがあったから。


ぞくり…とした。




怖い―――……





『朔羅―――!!どうした!!?』




すぐ近くにあるケータイから戒の怒鳴り声が聞こえてきた。


「か、戒―――……」





助けて。







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