。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
叔父貴のあたしの左手首を掴んでいた手が、あたしの掌をつつっと指先で撫でる。
びくっとして、あたしは叔父貴を見上げた。
「これはあのクソガキに貰ったものか?」
指輪のことを言ってると分かった。だけど、すぐに返事が返せない。
叔父貴は切れ長の目をすっと細めた。
険悪に光りを帯びたその瞳は、まるで龍そのもの。
美しいけど―――その底には真っ赤に燃え上がった何かがうごめいている。
叔父貴はあたしの左手に、自分の指を絡めてきた。
風呂上りなのに、思った以上に体温が低く、それがまたあたしをぞっとさせた。
ドキンドキンと心臓が嫌な音を立てる。
叔父貴はさらに顔を近づけると、不敵にふっと笑った。
「俺が何を考えてるのかお前は知りたいって言ったよな」
知りたいけど、今は知りたくない―――
そんな思いを込めて、あたしはゆるゆると首を横に揺った。
「俺はお前をただの姪だなんて思ってない。
もちろん黄龍の片割れだけだとも思っていない。
俺はお前を―――」