。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
言いかけて、叔父貴は言葉を飲み込んだ。
一瞬だけ…本当に一瞬だけ悲しそうに表情を曇らせる。
何で………
何でそんな顔するの……
そう聞きたかったけど、聞けなかった。
叔父貴はさっきの、怖いほどの迫力をどこかにしまいこみ、優しい顔であたしの頬をそっと撫で上げた。
叔父貴の大きな掌が包み込み、叔父貴の温かな体温を感じた。
いつもの………優しい叔父貴だ。
叔父貴の親指があたしの頬をそっと撫で上げる。
そのとき初めてあたしは、自分が涙を流していたことに気付いた。
叔父貴は切なそうに眉を寄せると、優しい笑みを口元に浮かべた。
そのまま目を伏せると、顔が近づけてくる。
芳しいシャンプーの香りに捉えられ、溺れそうになる。
叔父貴の吐息が間近に迫って、あたしは思わずぎゅっと目を瞑った。
やだ…
こんなのやだよ。
さっきまで大人しかった…ううん、きっと今までだってずっと呼びかけていたに違いない。
戒の声が電話を通してはっきり聞こえた。
『朔羅―――』