。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
「叔父貴、寝ちまったの?」
お嬢の声ではっとなった。慌てて口を噤む。
だが、どうやら俺の声はお嬢に聞こえてないみたいだった。
そのことにほっと安堵する。
お嬢は会長が横たわっているソファに移動すると、会長の足元…床にそっと腰を降ろした。
腕だけをソファに乗せ、会長を静かに眺める。その白い横顔が驚くほど百合香に似ていた。
まぁ血の繋がった親子だから当たり前なのだが、あのすべてを包み込もうとする優しい眼差しの中に、艶やかな色香が漂っているところも本当に良く―――似ている。
驚いた……
いつの間にこんな女の表情をするようになったのか…
「こんなところで寝たら風邪引くって」お嬢は苦笑を漏らした。
「もう寒い季節じゃありません。鍛えているし大丈夫ですよ」会長を起こさないよう小声で言ってお嬢を見ると、茶色の長い髪に小さな桜の欠片が乗っていた。
ほとんど何も考えず、腕が動いた。
お嬢の柔らかい髪に触れる寸前で、彼女がびっくりしたように目を開き、表情を強張らせた。
俺は思わず苦笑した。
「大丈夫ですよ。私はお嬢に手を出すほど身の程知らずじゃありません。第一私はロリコンじゃない」
「ロリ…!はっきり言うじゃねぇか」
お嬢は俺をちょっと睨んだ。だがすぐにちょっと考えるように首を傾けると、
「お前、一体いくつなんだ?」
と唐突に質問してきた。