。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。


「私ですか?いくつに見えます?」


「キャバ嬢みたいな受け答え方してんじゃねぇ。分からねぇから聞いてるんだよ」


「なるほど。ごもっとも」


俺の答えにお嬢はちょっと苛立ったように足を組んだ。白くて細い…綺麗な足だった。


思えばお嬢と、二人きりでこんな話をするのは初めてかもしかもしれない。


俺はお嬢のことをよく知っているが、彼女からしたら俺のことは謎だらけだろう。


「私の歳でしたら、会長の年齢を二乗して、さらにそれを30で割り、そこへ1.5倍した数字に3を足した数です」


「えっ?ちょっと待て!叔父貴が27だろ?そんでもってx27は…」


お嬢は腕を組むと、顔をしかめて首を捻った。


考えてる…


「ぐわぁ!わかんねぇ!!一体いくつなんだよ!!」


あ、諦めた。


俺はくすっと思わず笑った。


「な、なんだよ…」お嬢が気味悪い何かを見るように、顔をしかめる。


「いえ。失礼しました」コホンと咳払いをして、俺はグラスに入った琥珀色の液体を飲み込んだ。


カランと氷の重なる音が、さっき会長と二人で飲んでいたときとはまた違った響きに聞こえた。


「私は…そうですね。会長と言うよりむしろ虎間の姐さんの方が歳が近いんじゃないか、と思います」


お嬢は大きな目をぱちぱちさせると、肩を竦めた。


「姐さんも年齢不詳なところがあるから、比べる対象になんねぇよ」




「なるほど。じゃぁこう言えばいいですかね」





俺はグラスをトンっとテーブルに置いた。


ちらりと会長を見やる。彼は心地良さそうに寝息を立て、規則的な呼吸が胸を上下させていた。






「私にもし……もし、娘が居るとしたら―――きっとお嬢ぐらいの年齢ですかね」






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