。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
「……お見舞い?」
「そんなに大勢で行ったら、迷惑だよ。あたしらも今から行くしぃ」とリコが敵意むき出しでマドンナを見る。
いや、行くなんて一言も言ってねぇし。ってかあたしもホントは戒の居場所なんて掴めてないし。
「じゃぁ龍崎さんと時間ずらして行く。そうすれば騒がしくないよね」
あたしはちょっと驚いた。
大人しそうだったから、あからさまなリコの牽制に素直に引き下がるかと思ったから。
「…えっと、あの…」
どう答えていいのか分からずあたふたとしていると、近くでクラクションを短く鳴らす音が聞こえた。
校門のすぐ脇に一台の黒いレクサスが停まっている。
車に寄りかかり、のんびりとタバコをくゆらせているのは鴇田だった。
あたしは思わず顔をしかめた。
「誰?知り合い?」リコが不思議そうに顔を傾ける。
「お嬢、お勤めごくろうさまです」
だぁかぁらぁ!“お勤め”とか言うなよ!!あたしはムショ帰りじゃねぇっつの!!
「何だ…組の人……」リコが納得顔で頷いた。
「何か筋もんって言うより、普通のサラリーマンみたいだな」と千里。
「うん、有能秘書って感じ♪いかにもエリートっぽくない??」
って鴇田のことを知らない二人が勝手な想像を膨らます。
有能な秘書ってのは間違いないだろうけど、エリートは違うだろ。
「龍崎さんの……お父さん?」
てっきり帰ったと思っていたのに、何となく後ろを着いて来たマドンナが口を開いた。