。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
マドンナはあたしがヤクザの娘と気づいていないみたいだ。良かった~
…………
じゃねぇ!!!
「誰がお父さんだ!あたしにあんな陰険な親父はいねぇ!!」
あたしは素を隠すことを忘れて、思わず勢い込んだ。
マドンナがびっくりしたように、身を後退させる。
その様子を見て、鴇田の眉がピクリと動いた。
あの切れ長の目を、射るように険しくさせ眉間に寄せた皺を一層深く刻む。
あたしでもビクっとしてしまうほど、怒気を孕んだ険しい視線。
マドンナは凍りついたように身を固まらせると、顔を真っ青にさせ何も言わずに走り去っていった。
何かよく分からないけど…助かった??
「いくらなんでもお父さんにしては若過ぎるよ~。だってあの人せいぜいいって三十前半でしょぅ??」
リコがふわふわと笑う。
「それに全然似てないじゃん」と千里。
「当たり前だ!こんな奴と親子に間違えられるほどあたしは落ちぶれてねぇっつの!」
「お嬢、お迎えにあがりました」
そう言って鴇田は助手席の扉を開けた。あたしたちの会話を気にしてる風でもない。
でもさっき……
マドンナがあたしの父親かって聞いたとき、あいつはびっくりするぐらい冷たい視線でマドンナを睨んでた。
まぁこいつも、あたしなんてがさつな女を娘に間違えられて、ムカついたに違いないだろうけど。