。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
マクラ!?
あたしの小さな脳みそじゃ、考えに限界がある。
賢いキョウスケの知恵を貸してもらうのが得策だ。そう踏んだ。
もちろんあいつの無事を確認したいと思ったのが大前提だけど。
そんなわけで10分も経たないうちに見慣れた龍崎家に到着した。
家の前で例のごとく掃き掃除をしていたのは、キョウスケじゃなく、タクだった。
まぁ掃除を含めた家事は当番制だからな。タイミングよくキョウスケが居るわけもないか。
鴇田のレクサスが龍崎家の前に停まると、タクが何事か顔を上げた。
そしてあたしが降りていくと、驚いたように目を丸める。
「お嬢!!もう大丈夫なんですかい!!?」
「大丈夫って何が」
「いや。ひどい下痢で腹痛だって…会長からうかがいましたけど」
下痢~~~!!?叔父貴も言い訳するならもっとましなこと言いやがれってんだ!
「大丈夫だよ。でもわけあってしばらく叔父貴の家に厄介になるから」
「本当に大丈夫ですかい??」
心配そうにタクが眉を寄せる。どうやら本気で心配してくれてるようだ。
悪いな……タク……今はまだホントのこと話せねぇ。
「お嬢は大丈夫だ。会長と私が責任を持って面倒を見るから。それよりタク、キョウスケは居るか?」
いつの間にかあたしの背後に回った鴇田が、あたしの両肩をそっと掴んだ。
まるで逃げられないように、しっかり捉えているように思えてぞっとした。
「鴇田の若頭!!へ、へぃ!!キョウスケですね!今すぐに!!!」
鴇田の顔を見て、タクは敬礼するようにびしっと背中を正すと、慌てて家に入っていった。