。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
キョウスケの部屋へ向かう最中、当の本人と廊下でばったり出くわした。
「お嬢」
「キョウスケ!」
味方だと分かりきってる相手に会えた喜びと安心感から、あたしは思わずキョウスケに飛びついた。
「お、お嬢……」
あたしに抱きつかれてキョウスケはびっくりしたように体を強張らせている。
「良かった~!お前に会えて。無事だったんだな!」
キョウスケはあたしを宥めるように背中を軽く撫でると、
「ええ。ご心配おかけしてすみませんでした」と優しい声でちょっと笑った。
相変わらずぎこちない笑顔だけど。
いつもの―――キョウスケだ…!!
妙にじ~んときて、あたしは思わず泣きそうになった。
そんなあたしにキョウスケは顔を近づけて、耳元でそっと囁く。
「お嬢……例の…注射器のことですが……」
ドキリとした。
注射器のことをもう調べたのか??
緊張した面持ちでキョウスケの次の言葉を待っていると、
「こんなところで堂々と浮気ですか?お嬢」
と鴇田の鋭い声が聞こえた。