。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。


ある考えが過ぎって、あたしは桜の木から目を離せなかった。


「お待たせしました」


キョウスケが戻ってきても、しばらくそこから目を離せないで居る。


「お嬢……?」


キョウスケに声を掛けられ、はっとなった。


「あ、ああ。悪りい。で、何だった?」


「ええ。これを…」


そう言ってごそごそと紙袋から出したのは、別に驚くほどのものでもなかった。


「……マクラ」


あたしは白いあざらしのぬいぐるみを受け取った。


「お嬢が寂しいと思って、持っていってください」


キョウスケが無表情に言う。気を遣ってくれてるのかな?それでももっとまともなものを持ってきてよ。


しかもマクラの首(ってか首ねぇよな、こいつ)と言うか頭の後ろにピンクのリボンが付けられていた。


「わぁ!リボン!!おめぇ可愛くしてもらったんだな!!」


白くて殺風景だった頭に、リボンをつけてもらってマクラはお洒落になっている。


ってか可愛い!!♪


…………


でも


「これおめぇがつけてくれたの?」


「ええ。頭部が寂しそうだったので。また解けたら俺がつけますのでいつでも言ってください」


キョウスケが無表情に言った。


こいつ……ホント何考えてるか分かんねぇ。







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