。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
リボン付きの可愛いマクラを受け取りながら、あたしはキョウスケにそっと耳打ちした。
「キョウスケ…青龍会本部の一番奥の、代々の墓がある。できるならそこを調べてほしい」
キョウスケがちょっと息を呑む気配があった。
だが顔が離れて改めて見上げると、いつもの無表情に戻っていた。
「お嬢、そろそろ」
鴇田が少し苛立ったように腕時計に視線を落としている。
「分かったよ!行きゃいいんだろ、行きゃ!!」
あたしも苛々して、マクラのしっぽを鷲づかみにすると大またで玄関の方へ歩いていった。
「お嬢」
背後からキョウスケの声が追いかけてくる。
あたしはゆっくりと振り返った。
「お帰りをお待ちしています」
キョウスケは穏やかな微笑みを浮かべてあたしを見送っていた。