。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
叔父貴の帰りは遅かった。
夜11時を過ぎても、帰ってくる気配がない。
あたしは鴇田と二人でご飯を食べる羽目になり、何故か向かい合って食べた。
今日は叔父貴の好きな肉じゃがと、だし巻き卵、野菜炒めと、大根の味噌汁、それからさんまの塩焼き。
鴇田は黙って箸を進めていた。
あたしももちろんこいつと何か喋ることなんてなく、ただただ黙々とごはんを食べた。
ってか味なんてわかんねぇし。
食べ終えた食器を片しながら、鴇田は妙に関心したようにあたしを見た。
「お嬢は料理が上手ですね。意外だ」
意外だけは余分だっつーの!
苛々しながら食器を洗っていると、大人しくリビングに居るかと思いきやこいつは洗い物を手伝ってくれた。
「………」
またも無言。
重苦しい沈黙の中、あたしはやたらに手を動かせた。
いつもなら、隣に戒が居る。
学校の話、リコや千里の話、テレビの話…ときどき勉強の話………
あいつと笑いあいながらの会話は尽きなかった。
時々キョウスケも交えての三人での仕事。
何でもない日常が、ひどく懐かしく感じる。
カチャ
小さな音がして鴇田が小皿を布巾で拭いていた手を止めた。
「そう言えばお嬢の母上も、料理が上手でしたね」