。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。


あたしは鴇田の横顔をちらりと見た。


こいつの顔は相変わらずの無表情で、何の感情も読み取れない。


だけど、さっきの声が妙に昔を懐かしむ穏やかな色を滲ませていた。


「母さんのこと知ってんのかよ」


「ええ。親しくさせてもらいました。なにせ会長の姉上でもあらせられるお方ですから」


まぁそうだよなぁ。


叔父貴と鴇田の仲は、はっきりとは知らないけど、随分昔からだということをちらりと聞いたことがある。


まるで戒とキョウスケの仲みたい。


でも叔父貴と鴇田はあいつらみたいに、兄弟みたいな友達みたいな感じじゃない。


叔父貴は何より鴇田を信頼して頼っているけど、鴇田の方は叔父貴を神のように崇めてる節がある。


変な関係………


訝しく思いながらも、それ以上はあれこれ考えたくなくてあたしは早々に洗い物を終わらせた。


シャワーを浴び、叔父貴の寝室で独り、マクラ相手に独り言を呟いている。


「良かったなマクラ♪可愛くしてもらって。似合うぞ」


すべすべした頭をちょっと撫で、ピンクのリボンをまじまじと見た。


ってかキョウスケ。器用だな。


ちゃんとリボン結びしてあるし。ご丁寧にも縫いつけてある。


あいつが裁縫なんて、なんか想像できねぇんだけど。


ちょっと笑って、マクラをベッドに置くと、リボンが解けかかっていた。








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