。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。


手紙を読み終えると、あたしはその場でしばらく固まった。


キョウスケは只単に暇つぶしでマクラにリボンをつけたわけじゃなかった。


このことをあたしに報せるために…


キョウスケ…何考えてるか相変わらずわかんねぇけど、あいつのお陰でちょっとは救われた。


キョウスケ……


あいつもあたしのこと心配してくれてる。


あたしは手紙をぐしゃりと握り潰した。


あいつがあたしに教えてくれたこと、ここで知られるわけにはいかない。


あたしは部屋を飛び出ると、トイレに直行した。


「お嬢?」


リビングのソファで新聞を読んでいた鴇田が怪訝そうに声を掛けてきたけど、それを無視した。


トイレのドアを乱暴に閉めると、きっちり鍵をかける。


キョウスケの手紙を―――言葉を頭の中で反芻して、心の中に焼き付ける。


さすがの鴇田もトイレまでは追ってこなかったようだ。


深呼吸して、あたしは手紙をこまかく破いた。


きれいに磨きこまれた便器の中にその紙切れを捨てると、あたしは水を流した。






キョウスケ




ありがとよ。





あたしはあんたを―――そして戒を信じる。






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