。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。


「今日は朔羅にプレゼントがあるんだ」


叔父貴は微笑みながら、ハンドルを握った。



「え、何?ぬいぐるみ?前に叔父貴に貰ったマクラ、大切にしてるよ」


頭がちょっと割れてるけど…なんて言えないけど。


早くキョウスケにマクラを直してもらわないと。


叔父貴はちょっとだけ口角を上げると、「プレゼントは、見てからのお楽しみだな」といたずらっ子のように笑った。


そんな少年みたいな笑顔―――卑怯だよ。


あたしは赤くなった顔を逸らして窓の外を見た。


車はどんどん街中に入っていく。


「買い物でもするの?」


「まぁ黙ってろよ」


そう言われて大人しくしていると、見慣れたビルの前に到着した。


何だ…叔父貴の会社かよ。


わくわくしてたのに、結局連れて来られたのは覚えのあるどでかいビルの前。


ここに何があるってんだよ。


そう思いながらも顔を上げると、薄い灰色のビルの壁にこれまたどでかい看板…って言うか電光看板が設置されていた。


いつの間にこんなんつけたんだ?


ビルの1.5階分ほどあるスクリーンには桜の木の映像が映っていた。


淡いピンクの花びらがひらひらと舞う映像が浮かび上がっている。


パワーウィンドウから身を乗り出し、思わず「わぁ」って感嘆の声をあげた。






だけど本当の驚きはそれだけじゃなかった。






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