。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
電光スクリーンの前に、人が立っている。
見慣れた高校の制服。
両手をズボンのポケットに突っ込んで、こちらを向いて微笑んでいるその人物を見て―――あたしは声を失った。
あたしは目を開いて、そして慌てて叔父貴を振り向いた。
「プレゼントだ」
叔父貴は少しだけ悲しそうに微笑み、あたしの頭を優しく撫でた。
「一週間、お前と居れて楽しかったよ。また来いな」
「それって……」
あたしも同じように眉を寄せると、叔父貴を真正面から見据えた。
「行けよ。好きなんだろ?
あいつのことが」
叔父貴―――
「行け。戒がお前を待ってる」
叔父貴の言葉にあたしは弾かれたようにドアに手を掛け、ほとんど飛び出すように車を降りた。
叔父貴のセルシオがエンジン音を鳴らして、遠ざかっていくのが聞こえた。
あたしの方を見ないように、まるで逃げ去るように。
このとき―――
叔父貴がどんな気持ちで居たのかなんて
あたしには分からなかったし、知る術もない。
ただ叔父貴は
とても悲しそうだった。
そんな気がする。