。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
ココアのマグカップを手渡し、あたしは体育座りをして頬杖をついた。
何となく、桜の木をぼんやりと見やる。
『朔羅……』
あたしの愛しい人……叔父貴はいつもあたしを優しくそう呼ぶ。
叔父貴の好きだった人が愛した花の名前を……呼ぶ。
まるで宝物のように、愛おしそうに。
そう、叔父貴はいつだってあたしに優しい。
あたしが困ることはしない。
だからメガネだってあたしに危害を加えない。
心のどこかでそんな安心感みたいなものはあった。
ううん、今だってそれは変わってない。
「やっぱり、似てないなぁ」
ふいにメガネが声を出したので、あたしはゆっくりと顔をメガネに向けた。
「何が?」
「君の叔父さんと、君だよ。血縁者だからどこか似てると思ったけど。まぁ男と女の違いもあるけどね」
メガネはにこりと笑った。
悪意も下心も感じられない、のんびりとした笑顔。
「ああ。だって、叔父貴とあたしは血が繋がってねぇもん」