。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
気を許すな。
隙を作るな。
うっかりしてると、捨てたはずの過去を、埋めたはずの秘密を―――
誰かに掘り起こされてしまう―――
「……ん。朔羅さん!」
揺すられて、あたしははっと目を開けた。
目の前に心配そうに眉を寄せたメガネの顔があった。
「どうしたの?うなされてたよ」
「うなされてた?」
「うん。大丈夫?」
頭が重い。
まるで体が鉛のようだ。
起き上がることもままならないまま、あたしは手だけを額に当てた。
うっすらと汗もかいている。
「怖い夢でも見た?」
メガネはちょっと悲しそうに苦笑を漏らして、あたしを覗き込んでいる。
あたしは指の隙間から目だけを動かしてメガネを見た。
「……昔の…夢を見た」
「そう」
メガネは昔の夢が何だったのか聞かなかった。
にっこり微笑んで、あたしの頭を優しく撫でる。
気安く触るんじゃねぇよ。っていつものあたしなら思ってたけど、今はそんな余裕すらない。
それに
メガネの手はすごく優しくて、あったかかったくて
とても安心できたんだ。