。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
叔父貴は面白くなさそうにぷいと顔を背けると、むすっと唇の端を曲げている。
「お…叔父貴、あたし何かまずいこと言った?」
叔父貴は顔だけをちょっと戻すと、
「別に……」と面白くなさそうに呟いた。
「な、何だよ」
あたしは叔父貴の顔を覗き込んだ。
叔父貴はちょっとだけ目を細めると、僅かに頬を赤くさせた。
ため息を吐くと、
「全く、このお姫さまは」
ふわりと風が来て、体が持ち上がる。
「わ!わわ」
叔父貴はあたしを軽々と持ち上げると、片腕にあたしを座らせた。
そのままゆっくりと立ち上がる。
抱っこされたまま、あたしは赤くなった顔で叔父貴をちょっと見下ろした。
視線が叔父貴とほとんど同じ位置だ。
見える景色も、高さもまるで違う。
叔父貴の視界ってこんな風なんだ、と改めて実感した。
全てが眼下に見下ろせるような、そんな視界。
実際色んなものをその目で見てきて、視界に焼き付けてきたんだろうな。
色んな意味で叔父貴は下の世界をその鋭い目で見て、そしてそれらの景色をものにしてきたんだ。