。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
「そぅいやさぁ、クラブZの件、もう叔父貴の耳にも入ってるだろ?」
白虎会の虎間組が攻め込んできた。
由々しき事態だ。青龍を脅かそうとしている。
黄龍のことをぼんやりと考えていて、あたしはふっとそのことを思い出した。
メガネのシンデレラ談や、ゲイ発言ですっかり忘れかけてたけど。
優しかったり、そうかと思うと急に殺気だったり(まぁ、これは気のせいだと思うけど)…
あいつは何かとつけてあたしの気持ちをかき回す。
そう言えばあいつも“黄龍”の存在を知ってたな。
まぁ極道の世界では伝説になってるから、どこかで聞きかじったんだろうけど。
「…………」
叔父貴はあたしの背後で押し黙った。
背中を通しても分かる。
密着した肌から氷のように冷たくて刺すように痛い殺気がひしひしと伝わってきた。
「叔父貴……?」
あたしは叔父貴の顔色を窺うようにそぉっと振り返った。
叔父貴は眉間に深い皺を刻んで、ぐっと目を細めていた。
「悪りぃな。朔羅にはいつかきちんと話そうと思ってたんだ。いずれ口さがない組の連中から知らされるよりいいだろう」
いつになく真剣な表情…(いや、いつも恐えぇぐらい真剣なんだけど)
今のはちょっと次元が違うっていうか。
もっともっと深いところにあるっていうか……
とにかく口では現せない嫌な予感がした。