唇にキスを、首筋に口づけを
家に入って荷物をおろすなり、爽哉の視線が気になる。
・・・さっきから何なんだろう。
「爽・・・」
私が爽哉を呼びかけようと思った瞬間だった。
「っ・・・ゆりな・・・」
ぎゅっと身体に感じる体温。
・・・!?!?
背中に感じる骨ばった腕。
・・・え!?
い、ま、何が起こってるの・・・!?
私、
爽哉に抱きしめられてる・・・!?
ちょ、ちょ、どうした・・・!?
「爽哉・・・!!」
私は少しもがく。
何があったかしらないけど、本当にどうしちゃったの・・・!?
「ちっ・・・。
俺は・・・ゆりなをずっと見てきたのに。
ゆりなと一緒に居続けて守ってきたのは俺なのに・・・」
爽哉がブツブツと何かいっているけれど、私には聞こえなかった。
「そ、爽哉?
今、何て・・・?」
私はそう言ったけれど、爽哉の腕の力が強くなるばかりであった。
「俺は、お前のことが好きなんだ・・・。
いい加減、俺を兄弟のように扱うのは、やめてくれ・・・。
男として、見てくれ・・・」
爽哉のなくなりそうな声を聞いて、バクバクする心臓。
なんなんだろうこの、囁き。
爽哉相手に、ドキドキするなんて。
おかしい。
「爽哉のことは、大好きだよ・・・?」
「それは家族としてってことなんだろ・・・?」
うっとつまる私。
確かにそれはあたっている。