唇にキスを、首筋に口づけを
魔界
次の日の朝、私の目は真っ赤に腫れていた。
うわあ・・・。
私はその自分の醜い顔に自分でびびる。
昼までに治るといいけど・・・。
私はいつものように家事を済ませ、昼頃に家を出た。
幸い、目の腫れは引いていて、なんとか家を出れる状態にはなった。
なんとなく爽哉と会話を交わす余裕もなくて帰り時間も言わずに家を出てきてしまった。
______駅前につくと、待ち合わせ場所には友人の姿。
「こんこーん!久しぶり!」
「おーーゆりな!ほんと!なんか久しぶりねー!」
そう言って私達は久しぶりの再会を喜んで軽く抱き合う。
「さ!行きますか!」
「よーし、今日は食べるぞーーー!」
私達はそう意気込んで巷で話題の食べ放題店へと足を進めた。
そこでたらふく食べて、私達は休憩がてら、店の近くのベンチに座って少し語るこにした。
「にしても、寒くなってきたねー。」
「そうだねー、寒いわー・・・。」
私達は外の冷気に触れて冷めた身体を自分たちでこすり合って温める。
「最近どーなのー?」
「最近って?」
「もー!れんあいのお話ですよーう。
あの映画に行った彼とはどうなの??」
・・・目をキラキラと輝かせてこんこんは言った。
うううう。
何てことを今言うんだ。
治りかけのカサブタを一気に剥がされたような感じだ。
けど私は平然を装う。
「えーもうあいつはない。
断じてない。」
私はそうキッパリと否定した。
ほんと、もうほんとに。
あんなやつ・・・。
もうあんなやつとかそんな軽蔑の仕方じゃ収まらないわ。
「え!?まじで!?
なんかあったの・・・!?」
なんかあったって言われるとなぁ、テキトーな理由つけないと・・・。
「なんかさ、
優しい顔しといて、実はめちゃくちゃ性格悪かったんだ。
女好きだったし。あれはない」
私はケタケタ笑ってたった今思いついた言葉を吐き出した。
「たらし!?それはないわー。」
こんこんも納得してくれたようで私は安心する。
「でさでさ」
そう安堵のため息なんてものをついてる暇もなくこんこんのマシンガントークが炸裂する。
「うっちーは!?」
ぶふぉ、
なんて私の唾液が変なところに入ってしまった。
う、わ、なんか誤解されるー。
タイミングおかしいでしょ、気管にはちっちゃうタイミング・・・!
私はげほげほしながら息を取り込む。
「なんかあったなー??」
何故か楽しげなこんこん。
あー、これは口割らないといけないやつだ。
私は小さく覚悟した。