唇にキスを、首筋に口づけを
人間界
ー爽哉sideー
「大丈夫だから、
ちょっと放っておいてほしい。」
ゆりながそう言って部屋に入ったあの日。
俺はゆりなが泣いていたのを知っていた。
今すぐ扉をあけて、
なぐさめてやりたかった、
抱きしめてやりたかった。
けど、
ダメだ。
ゆりなはもう大人で、
1人で考えることも必要だから。
・・・ゆりな・・・。
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次の日、どうもゆりなとは気まずくて、
必要最低限の会話しかしなかった。
その日はゆりなは近藤と遊びに行くといっていて、
俺はそれをああ、と頷いて聞くだけだった。
夜、狩から戻るとゆりなの姿はなかった。
また近藤の家に世話になってるんだろうな。
高校時代からゆりなは何かあると友達の家に泊まりに行くことがしょっちゅうあった。
だから今回も、ゆりなは近藤の家に泊まりに行ったんだと連絡もいれずに解釈してしまった。
ゆりなのことを知り尽くしているがための失態だった。