唇にキスを、首筋に口づけを
その屋敷に向かう間、何体ものヴァンパイアに遭遇したが、取り敢えず相手にできるものは駆逐。
手に負えないものはとりあえず銃で撃つだけ撃って時間稼ぎをした。
そしてやってきた屋敷。
俺は、胸に希望という花が咲いた。
庭から、人の気配がするのだ。
人の、気配。
ヴァンパイアではない、と思う。
ここ数年狩りをしているとだんだんわかってくるものなのだ。
ヴァンパイアと人間の気配の違い。
オーラとでも言うべきか?
俺は近くにバイクを駐めて、柵を飛び越えてそこに入り込むことに成功。
やはりセキュリティシステムも人間界と比べるとダメだな。
俺はでか過ぎる庭を見渡す。
すると人影が見えた。
女性。
俺が、見間違うはずがなかった。
すぐにその女性・・・俺が何年も共に過ごした、
俺が、助け出したくてしかたなかったら
俺の大事な人・・・
もといゆりなに駆け寄った。
彼女はとても美しかった。
ゆりな、ゆりな・・・!!
お前を、助けに来た・・・!
大きい声は出せない。
けど、俺は泣きそうなくらい嬉しかった。
俺はつくづく、運がいい。
こんなにすんなりとゆりなを発見できるなんて・・・!!
そしてゆりなの視界に入るように前に立つ。
庭に生えていたきのこを見ていたゆりなだが、俺の存在に気付き、ゆっくりと顔を上げた。
その顔は、とても驚いた様子で。
目を見開いていて、でも笑ってて。
次の瞬間、
「爽哉・・・!!」
そんな涙ぐんだ声が聞こえて、
ゆりなは俺に抱きついてきた。
俺はすぐに抱きしめ返す。
ゆりなだ、ゆりなが、ゆりなが、帰ってきた。
俺の元に。