唇にキスを、首筋に口づけを



「珍しく、危機管理能力低いのな。

そしてそんな声、出すんだ。」



耳元で楽しげな声。



な、な、何を。





これは今どんな状況だ?




ん?抱きしめられてる?


え?何で?




「はっ」



私は思わず結界を張ってベッドから飛び降りる。



「いってぇ」



「何すんの!!
断りもなしに!」



私は戦闘態勢に入る。



身を構えて。



避ける準備も攻撃する準備も思わぬ攻撃に備えていなし方も。



ジュンがむくりと起き上がる。



くる


私はさらに足に力を入れた。



けれど彼の行動は私の予想を反した。




「ということは

断ったら抱きしめさせてくれるのか?」




ジュンは真面目に、私のことをベッドから見上げてそう聞いてくるものだから。




「はい?」



私は思わず間抜けな声を出してしまった。


いけない、私。



これは奴の罠よ!


さぁ構えを・・・



そう思ったらまたジュンの腕が伸びていた。




そして私は先ほどと同じように抱きしめられていたのだ。




「やだ!」



私は腕の中でジタバタする。



結界を使おうにも今度は手のひらを押さえつけられてて出せない。


なんと用意周到か。



「昨日はデレてくれたのに。



今日はツンだけなのか?」



「そんな言葉どこで覚えた!?」




「人間界。」



「〜〜っ」



「今日は大人しく、俺の抱き枕ね。」




「ふざけないで!」



「二度寝が嫌いな人間はいない、って聞いたぞ。


二度寝って気持ちいいんだろ?」



「・・・寝ることもしらない種族に言われても。」



「俺はゆりなを抱き枕にしてるだけで気持ちがいいんだ。」




そんな風に、ふわりとわたがしみたいに柔らかい声で言うものだから、
私は暴れるのをやめた。




確かに、今日は日曜日



一般人は二度寝とか、そういうこと、するんだと思う。



ここ最近、トレーニングだの家事だのに追われてそんな時間を持て余すようなこと、していなかったから。



今日くらは、いいかな〜とか。



そんなこと思っていたら。




私はいつの間にか夢の中だったのだ。



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