唇にキスを、首筋に口づけを
その日から、一ヶ月以内はなるべくゆりなといるようにした。
俺がいない時に何か危険なことに出くわさないようにたくさんシルシをつけた。
そしてある日、ゆりなの家から出た。
1つ置き手紙を残して。
けれど、本当に申し訳ないのだけど、
俺がすぐに帰ってこれる保証もない。
だからどういう言葉にするか迷った。
迷った挙句、一言だけ、残すことにした。
そして魔界へと戻る前に、1つ、動物から血を調達させてもらった。
そして結界境線をなんとか超えて魔界にやってきた。
ふぅ、人間界にいたせいで、魔力の使い方が鈍ってるけどな。
俺はのろのろと、帰りたくない、と思いながら帰宅した。
俺が帰宅するなり、メイドたちが声を上げる。
「ご主人様!!
ジュン様がお帰りになられました!!」
っ、まず俺に挨拶だろ。くそが。
するとすぐに親父がやってきて、俺の目の前に立つ。
視線がバチバチと光線が飛びそうだ。
「やっと帰ってきたな。
早く穢れを落として来なさい。
国王様のもとに行くのは明日だ。」
穢れって・・・、くそ、バレてんな。
まぁ俺らの家系は鼻がきく奴らが多いし。
「はい。かしこまりました、お父様。」
そう淡々と、波風たてずに返事をした。