唇にキスを、首筋に口づけを




目的地にたどり着き、私達はトランクから荷物を出す。




花にバケツに雑巾に箒にライター・・・線香っと。




これらを持って自分達の親の墓に向かう。




「ここ。」




「ああ」




毎年のやりとり。




私の両親の墓と爽哉の両親の墓は隣同士だ。




私達の昔の家みたいで。




昔は私の家族と爽哉の家族はお隣りさんだった。




お母さん達が死んでからは、

私の家は取り壊しになって、

爽哉の家に住まわせてもらうことになった。





ここに、眠ってるのかな。




もう、4年も経ったよ?




爽哉と私は自分の家の墓を掃除していく。




私はそんなことをしながら、心の中で言う。





お母さん、お父さん、


今のところ人間界は平和。



ヴァンパイアの侵入も見ないし。



まあ、爽哉が倒してくれてるんだけど。



結界もお母さんが逝ってからは強いまま。



天国でめっちゃ強力なの張ってるんだね。



ありがとう。



私も死ぬならお母さんみたいに、

死後も人の為になる死に方がいいなぁ。



とか言ったら怒る?




ごめん。




お父さん、お母さんを守っててよ?




頼んだからね。




私はそう言って一人で笑う。




伝わったかなぁ、とか。




私は掃除を終え、

線香を供えて花も供えた。



手を合わせたりはしない。




なんか、
お母さんとお父さんはそんな扱いを望んでいない気がしたから。




「よし」




私は立ち上がる。




爽哉のお母さん達にも挨拶しないと。




私は爽哉の家の墓の前でしゃがむ。




爽哉も何も言わずに、私の家の墓の前にしゃがんでる。




爽哉と私は仲良くやってるからね。




爽哉はおじさんと似て、すごく強いよ。




狩人の中で10年に一人の逸材って呼ばれてるらしいよ。



あの爽哉が、って感じだけど。




ちっちゃい頃はビビりだったもんね。




おばさんがくれたレシピもよく使ってるよ。




爽哉もおいしいって言ってくれてる。




ありがとうね、爽哉を産んでくれて。




また来るよ。




私はそう伝え、立ち上がった。




同時に爽哉も立ち上がった。
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