唇にキスを、首筋に口づけを


電話を切り、


「はあー」


私は一つ、ため息を吐いた。



ジュン、くん。



すごく、
いい人で、素敵な人。



・・・、


何この胸の感覚。



キュって、何かに押さえつけられたみたいな。




・・・、


深く考えたくないや。





喉乾いた、飲み物。



今日も相変わらず暑い、暑いー、


自室を出ると、


むわっとした空気が私の頬を撫でた。



キッチンに行く途中、


なんだか見慣れないものが目に入った。



「ん?」



私は一旦立ち止まってそれを見た。



・・・スーツ・・・?



え。なんで?



爽哉のだよね?



え、ていうか爽哉スーツ持ってたの?



え、何で急にスーツ?



「爽哉ー、


これどうしたの?」



私はたまたまダイニングでスポドリを飲んでいた爽哉に話しかけた。



「え、

スーツ。」



「みればわかるわ。


え、なんで急に?」



私が純粋にそう言うと、爽哉の動きが止まった。



・・・、え?



めちゃめちゃ、は?

って顔されてる。



え、何か変なこといった?



ううん、言っていないはず。




「もうすぐ、


パーティーだろ。


再来週の日曜日。」



爽哉は淡々といった。



・・・、



パーティー・・・。




私は記憶を辿った。




・・・あ!



数秒かけて思い出した。



ああ、そうだそうだ。



パーティーね。



そういえばあったなあ。



この時期に毎年、


結界師や狩人、


まあヴァンパイアを撲滅させようとしている人達諸々。



顔合わせみたいなものである。



いや、


でも正直私達は一回も参加したことがなかった。



「え?



私達毎年行ってなかったじゃん。」



「それは、


開催地が遠すぎて面倒だからやめたんだろ?



今回は近場・・・っても電車で1時間くらいだけど。」



「あ、

そういえばそんな理由だったね。」



ふむふむ、


と私は一人納得していた。



「で?」



え?


急に爽哉が一言発してきた。



「え?」



思わず私も単語で返してしまった。



すると爽哉に呆れた顔をされた。
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