唇にキスを、首筋に口づけを
「恨み・・・ね。
ああ、あるね。
俺を殺しかけた唯一の狩人。
あの狩人、野放しにしとくとやばいからさ、
今のうちに仕留めないとね。
だから、お前はエサなんだよ。
でもラッキーだな。
お前ら自信が2人揃ってやって来るなんてさ。
ゆりなの俺への信頼度を高めてから、
あの狩人をおびき寄せようと思ったんだよ。
ははっ、まさかその手間が省けるなんて、俺も運がいいな。
ま、あの狩人がくるまで、たっぷり可愛がってあげるからさ。ちょっとは楽しもうね・・・」
ははっ、そう笑ったかと思うとヤツは私の首に舌を這わせた。
「っ・・・!」
私の肌が栗立つ。
ぞわぞわと波打つ肌。
「びくっとしちゃって・・・。
そういうの、免疫ないんだなぁ?
そうか、あの狩人がほかの野郎を寄せ付けないようにしてたからか・・・」
そう喋りながらも舌が動くのを感じる。
やだやだやだやだやだ。
でも、冷淡に、耐えろ。私。
あーでも怖いよ、
舌が動く度にカツリと当たる牙が痛痒いよ。
私が身構えていると、
突然なんだかチクリとした小さな痛みが走った。
!?
なに、いまの・・・。
牙、たてたんじゃないでしょうね・・・。
するとカラッとした笑いが響く。
なに、なんなの?
「あーハナが咲いた、真っ赤なハナ。」
けたけた笑ってる。
気色悪い。
は、な?
花?
え、ちょ・・・
「まさかっ・・・」
私は自分の首元を頑張って見ようとしたが、見えない。
目の前のやつ口角をあげる。
「そのまさかだよ・・・
キスマーク、ね。」
不敵な笑みを見せる。
・・・。
私は黙り込むしかなかった。
うつむくしかない。
あーもう。
嫌だな嫌だな嫌だな。
何てこと、
まだ、つけられたことなんて1度もないのに。
なんでこんな敵に、
好きな人じゃなくて、むしろ恨めしい男に、
何で。
泣くのを我慢するしかなかった。