唇にキスを、首筋に口づけを
「あ、泣いちゃった?
可愛いね」
そう言ったかと思うと私の顎を急に持ち上げた。
真っ白な陶器のような肌で、
綺麗な指先が、
私の肌にまとわりつく。
嫌でも目の前にある顔は、
やはり整っていて。ムカつく。
すっと私の目の下に優しい感触。
「涙・・・」
儚げな声でヤツが言うのが聞こえた。
次の瞬間だ。
「・・・!?!?」
目の下に、冷酷な、
目の前にうつる描写とはなんだか違う、おかしな感覚。
私の目尻にヤツの赤い舌が滑ったのだ。
普通だったら生暖かな感触があるのだろう。
しかし、
ヤツはとても冷たかった。
・・・やはり、こいつには心なんてないのだ。
ヴァンパイアに、
心はないのだ。
そう実感させられた。
「うめぇ・・・」
しゅるり、
ヤツが舌舐めずりをした。
・・・はい?
う、めぇ・・・?
「お前の涙・・・
なーんでこんなに甘いの。
俺、くせになっちゃうな・・・。
もっと、泣けよ・・・」
耳元で囁くように言われた。
なにこれなにこれ。
どうしようどうしよう。
というか待ってよ、
目が、赤いよ。
飢えてる、目。