唇にキスを、首筋に口づけを



や、だ。



これは、本当に、危ない。



いつ、牙をたてられてしまうのか。



やめてやめてやめて。



助けて、助けて、助けて・・・!



爽哉・・・!




私はぎゅっと目を瞑った。




ああ、私は本当に弱い。




こんなすぐに爽哉を頼ってしまうのだから。




爽哉の姿が、私の脳をすぐに過るのだから。




私の、バカ。




私は目を開く。




目の前には、やはり獣が。




「・・・!」



けれど、私は目を見開いた。



焦点をずらすと、


獣の背後にら何か影が見えたのだ。




見覚えのある影。



いつもの、姿。




あれは、

爽哉・・・?




剣を握ってる・・・?




私と爽哉の目が合うのがわかる。



爽哉はコクリと頷いた。



ああ、私はいつも爽哉に助けられてばっかりだ。



自分が嫌になる。




けれど、少しでも爽哉の役に立つように頑張ろう。




・・・確かに今はこいつを抹消するにはとてもいいタイミングだ。




こいつは私の涙を喰らうのに夢中・・・。




だったら・・・、もっと私の方に注意を促そう・・・。




私はさっき怪我をした所の布を剥いだ。




べろりと私の皮膚が布にもってかれた。



痛っ・・・。




血がジワジワと出る。




すると目の前の獣がビクンと反応するのが分かる。




チャンス、爽哉・・・!




すると爽哉が剣を振りかざすのが見えた。




よし・・・!
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