唇にキスを、首筋に口づけを
ザクッ・・・
「 とぁぁっ・・・・!」
仕留めた!!!
ヤツの痛み悶える声が聞こえた。
あとはトドメをさすのみ!!!
私は爽哉に寄り添おうと走ろうとした。
その時だった。
「・・・!?」
私は自分の周囲の光景に目を見開くしかなかった。
「ッチッ・・・」
爽哉が舌打ちするのがわかる。
周りに、
10体はいるだろう、ヴァンパイアがいる。
嘘、でしょ。
嘘だと言って。
この、今首の痛みに悶えてるこいつを、やっとしとめられると思ったのに。
どうして。
今こんなヴァンパイアに手こずらないといけないの・・・!?
「ゆりな、結界を張れ。
とりあえず自分の所だけを。」
爽哉は銃も取り出した。
「え・・・!?」
そんな!!爽哉が危ない!!
「荒っぽいことする。
もしかしたらゆりなにも被害があるかもしんねぇからってことだよ。」
爽哉はそう言って唇を噛んだ。
「っし」
そんな、そんな。
爽哉だけが戦うなんて。
私は結界を自分だけに張って、待ってろだなんて。
悔しい、
私も何かしたい。
けど、何も、できない。
私はそのままおとなしく爽哉に言われた通りに結界をはったままでいた。
結界越しに爽哉がヴァンパイアを打ちのめしていくのがわかる。
銃と剣、二刀流。
さすが、だな。
全てのヴァンパイアを動けなくした爽哉。
あとは砕くだけ・・・。
そう思ってふとさっきのヤツを見ると、もう姿はなかった。
・・・!
「とり、にがした・・・。」
私は呟いた。
爽哉はヤツ以外のヴァンパイアを全て抹消し、私の手を取った。
「ゆりな、
今日は撤退だ。」
そう言って私の傷を自分のハンカチで結び、バイクにのせた。
バイクは猛スピードで下山して行った。