唇にキスを、首筋に口づけを
家に辿り着き、
その日は頭がまわらなかったからとりあえず寝た。
寝れないかと思ったけど、
本当によく眠れてしまった自分に笑った。
朝、私はいつものように朝食を作って爽哉を起こした。
「おはよう」
「おはよう」
いつもの返しをして、椅子に座ってご飯を食べ始める。
先に切り出したのは爽哉だった。
「ごめん、な。
お前を一瞬でも一人にしちまって・・・」
俯きつつ言う。
「ううん、気にすることないよ・・・。攫われたのも、私のせいで・・・」
私はそう言ってからハッとした。
そう、だ。
ヤツが私と面識があったことや、
爽哉目当てだったことを、私らまだ言っていない。
これは、言わないといけないこと・・・!
「あのね、爽哉・・・」
私は口を開く。
合コンに行ったときに助けてくれたこと。
一緒に出掛けたこともあったこと。
それが爽哉目当ての行動であったこと。
全て話した。
それを聞いた爽哉のオーラはすごかった。
「っち、
あのヴァンパイア・・・!
ぜってぇ殺す。
ゆりなを傷物にしやがった罪は重ぇぞ・・・!」
爽哉はギリギリと歯ぎしりをしていたが、最後の一言はよくわからない。
「確かに、時系列がそろうな・・・。
前、俺がいつもより遅く帰ったことがあっただろ?
それさ、あのヴァンパイアと戦ってたからなんだ・・・。
土砂崩れとか言ってさ。」
爽哉はふっと視線を空した。
あ・・・。
私は記憶をたどる。
そう、だ。
そんなこと、あって。
その後に、合コンがあって・・・。
「でもな、
全部俺が悪いってことだよ。
1番最初にアイツにであったときに抹消できなかったんだから・・・。
俺の、責任。
本当に怖い思いさせて悪かった。」
爽哉はそう言って私に頭を下げた。
・・・!
「爽哉!やめてよ!」
私は爽哉の頭を無理矢理あげさせる。
「ほんと、悪いな・・・。
ヤツはゆりなのバイト先も知ってるんだろ?
だったら変えないとな・・・。
今日辞めるように電話しな」
爽哉はご飯を食べながら言う。
「うん・・・そうだね。」
私は静かに納得した。