TRANP
Side 悠稀
そっとドアを開ける
カチカチと絶えず聞こえるパソコンを打つ音
「……悠?」
「あー、邪魔した?」
「いや? 大丈夫」
一度止まってた手をまた動かしてパソコンを打つ凛華は目が少し赤くなってて腫れてた
泣いてた…?
「…何か、あった?」
少しの沈黙
「なんもないよ」
俺より小さい凛華
なんでもないふりしてわざと元気なふりして
なんか見てる方が痛々しくて悲しくなる
「話聞くけど」
「大丈夫だって、悠稀なんか飲む?」
立ち上がる凛華の手をつい握ってしまう
怪訝な顔で見てくる凛華を引っ張り
腕の中に納める
「やっ…!!?」
…凛華の声を聞いてハッ、と我に返る
なに、やってんの…
俺……