lucky×unlucky



「うわっ‼最悪っ‼」

新しい靴なのに‼

篠宮さんに気を取られ過ぎて気付かなかった

道端に放置されていたイヌの糞…それもとびきり大きなモノを踏んでしまい、テンションが一気に急降下

これだから大型犬は嫌なんだよ

なんて、心の中で悪態つきながら必死に地面に擦り付けていた




だから、気付けなかった

その先が信号のある横断歩道で、点滅して丁度赤になっていたということに



篠宮さんが立ち止まらず歩いていることに

そして、

急いでいたトラックがすぐそこまで迫っていたことに



「篠宮さんっ‼」

気付いた頃には後数メートルまでトラックが迫っていた

俺は大きな声で叫ぶと篠宮さんは立ち止まり顔を上げる

そして、その異様な状況に動揺するわけでもなく、ただ目を閉じた

全てを諦めたかのように



「…っだよ…」

馬鹿じゃねぇの…

諦めるにはまだ早いだろ



俺は、力の限り地面を蹴り上げた



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