lucky×unlucky
-篠宮杏side-
気が付いたら私は暖かくて、少しゴツゴツしたものに包まれていた
『お嬢ちゃん、兄ちゃん大丈夫か⁉』
トラックから降りてきたおじさんが顔面蒼白で私の元へ歩み寄ってくる
「…兄ちゃん?」
ふと、身体に回されている何かを触れば誰かの無駄のない筋肉がついた腕で、私は漸くこれがなんなのか理解した
「……山本?」
「ピーンポーン。やっと俺に気付いてくれた〜」
よろよろと私ごと身体を起こして、へラリと笑うが、その笑顔は力無い
それから山本は私から少し離れてゆっくりと立ち上がり、軽く汚れを払うと手を差し出してきた
「…立てる?」
「…ん」
未だに状況が把握しきれていない私はほぼ無意識に手を伸ばして山本の手を掴む
グイッ
「わっ…‼」
思ったより相手の力が強くて前のめりに倒れそうになるが、目の前の彼に難なく受け止められる
「…ごめん」
「…それは、何に対しての謝罪なの?」
「……え?」
意味が分からず相手の顔を見ると、一瞬悲痛な表情になったかと思えば、そのまま強く抱きすくめられた