lucky×unlucky
「ほんと、読めないわね」
貴方は
真面目な顔して核心をついたかと思えば、馬鹿っぽい顏して馬鹿な事を言ったり…
本当の山本はどれなのか…分からない
「ミステリアスな俺も結構いいでしょ?」
「……っ」
クスッと笑う彼の顔は思いのほか艶やかで、不覚にも脈が乱れる
そういえば顔は良いんだった…この人
「あれ…顏赤い?」
「気のせいよ」
頬が熱くなっているのは自覚済みだったが、張本人に言われると無性に腹が立つ
私の顔を覗き込みながらニヤニヤ笑う山本を一蹴して、さっさと家路へ向かう事にした
「あ、待って篠宮さんっ‼」
その後ろを慌てて追い掛ける山本…のはずだったが、思い出したようにクルリと方向転換して
すっかり忘れていた人物の元へ歩み寄る
「そういう事で、運転手さんの車にも幸い外傷はないし、俺たちも無傷なんで警察にも通報しなくて大丈夫で〜す」
『あ…はぁ』
そういう事で…とはどういう事なのだろうか…という運転手の素朴な疑問は置いてきぼりで
山本は先に行った少し強気で不運なお友達の元へ駆け出したのだった