lucky×unlucky
-篠宮杏side-
ガヤガヤと騒がしい廊下
女子はオチのない薄っぺらい会話をして盛り上がり
男子はあの子可愛いだの付き合いたいだの下心満載の会話を繰り広げている
そんな会話中に私が通ればピタリと会話は止み、今度はヒソヒソと小さな声で囁き始める
もちろん内容は誹謗中傷オンリーで、良い加減飽きないものかと呆れを通り越して笑えてくる
この光景も、もう慣れた
次の教科は移動よね…となんとなくおもい、自分の教室へ向かおうとしたら突然強い力で手を掴まれた
「…なんですか」
面倒臭そうに見上げれば、いつも私の悪口を囁くどころか大っぴらに叫んでいるギャルの皆様達がニヤニヤしながら立っていた
『ちょっと顔貸してくれない?』
フワリと香る強い香水の香りに僅かに顔を顰めながら、どうやって断ろうかと考えを巡らせていたら、痺れを切らせたギャルの一人が私の髪を掴んだ
「……っ」
『ま、あんたに拒否権なんかないから』
ゲラゲラと下品な笑い声を上げると、私の髪を掴んだまま、今の私にうってつけの場所へと連れて行った