lucky×unlucky



「どうして?」


あー…ちょっと面倒くさくなってきた


『あのっ…そんなに大事にして欲しくなくてですね…少し手を貸して頂けたら…上がれると思うんです!!』


たどたどしい口調

だけど"上がれる"と彼女ははっきり断言した


つまり…

「俺が一人で引っ張り上げろと?」

遠回しに俺一人で何とかしてって頼んでるの?


『えっと…まぁ…はい』

「………」


どんだけ迷惑女なんだこのやろー


なんて、流石に口に出して言えないけど

溜め息が出るのは仕方ない


「…分かった。取り敢えず今から下に降りる。で、君を背負ってまた上がる。いい?」

多分思っているよりずっと深いから、手を貸すより負ぶって脱出する方が無難だろう

『はい…お願いします』

少し俺が苛立っているのが分かったのか女の子は更に声を小さくして、素直にその案に乗った



「はぁ…なんでかなぁ」

こんな筈じゃなかったのにな…

俺は再び深い溜め息をつくと、鞄を置いて大きな穴の中へ入り込んだ


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