lucky×unlucky




…確かに、最近思い当たる節がある

屋上で三人一緒にご飯を食べている時、どこかぼーっとしてたり考え込む仕草をしたり

亮介がさり気なく肩に手を触れても振り払う事はせず…というか全く気付かなくて

調子に乗って抱きつこうとしたら流石にビンタ食らってたけど

心配になって俺が「何かあったの?」って話し掛けてみたら「あっても山本に話す筋合いはないわよ」って露骨に嫌な顔されてちょっとヘコんだのは記憶に新しい


…兎に角、篠宮さんに何かあったのは事実だと思う

それが、なんなのかは分からないけど


「俺達に話せない事…なんだよなぁ」

「そりゃあ…そーでしょ」

俺達と篠宮さんとの間には見えない壁がある


それは…薄いけど、頑丈な…強化ガラスのように厄介な壁

だけど、一点を集中して叩けば、呆気なく壊れる強くて脆い壁



いつかその場所を見付けて

篠宮さんの心の奥を知れたら良いのにと思う





それから俺達はそれぞれ思うところがあったのかそれ以上篠宮さんの話をせず、暫く別の話をしていると


『みなさん、静粛に』


突然、凛とした声が体育館内に響き渡った



< 139 / 159 >

この作品をシェア

pagetop