lucky×unlucky
――――――――……‥
カツ…カツ…
暗闇で何も見えない狭い円筒状の中を、慎重に降りていく
『あの…大丈夫ですか?』
下から女の子の心配そうな声が聞こえてくるがそれに返事をする余裕はない
というかこの上なく面倒くさい
これで下にいる女の子がデブでブサイクだったら放置してやろうか…なんて酷い事を考えていた
カツ…カツ…カツ…カツ…
カツ…カツ…
コツン…
僅かに触れたコンクリートの感触
それを確認すると軽くジャンプして静かに着地する
「初めてこんな場所入った」
地下はやはり下水道のようで、家庭用排水などが流れているのか余り好ましくない臭いが充満している
…早く出たい
『あの…』
近くから女の子の声が聞こえて、徐に振り返る
「どこだよ……うわっ!!びっくりした!!」
『すいませんッ!!』
近くにいるとは思ったけど…まさか隣にいたとはι
目が慣れてきたのかぼんやりと女の子の姿が浮かび上がる
顔は…暗くて分からねぇけど多分デブではない
見たところ結構小柄なようだ
女の子はしばらくモジモジしていたが、意を決したかのように俺を見据えてガバッと勢い良く頭を下げた
「…な、なにι」
『あの…来てくれてありがとうございます!!』
実はこの子体育会系なの?と思うくらいハキハキしていて正直かなりびっくり
「あー…うん。気にしないで。てか、時間無いんで乗って」
大人しいんだか元気なんだか分かんねぇ…ι