lucky×unlucky


そいつはカァー カァーと鳴きながら真っ黒な羽を一身に使って優雅に羽ばたいていた


"カカァ カァー"

"カァーカカッ!!"

"カァカァー?"


…聞こえによっては会話しているように聞こえる大群のカラス達

なんか怒ってます?


「うん…きっと私じゃない…私じゃない…」

自分に暗示をかけるようブツブツ言いながら

カラスに顔を見られまいと下を俯いてそろりそろりと数十メートル先の店を目指します



※以下()内はカラス語で人間には分かりません


"カァー カァーカァー?"
(あれ?アイツ俺達がいつも苛めてる奴か?)

"カァー カァー カカカァ!?"
(顔見えねーし分かんねぇよ。間違ってたらソイツに悪いし)

"カァー カカァー"
(だね。俺ちょっと見てくる)




バサァッ

一羽のカラスが大きな羽を翻して輪から抜けると、杏から数メートル先にあるガードレールに止まった


「見ちゃ駄目…見たら終わり…見ちゃ駄目…」


それに気付かない杏は下を向いたままひたすら店を目指す




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