lucky×unlucky
 


「もういいですか?私、もう教室戻らないといけないんで」

「え…あ、ちょっと――…」

ガラガラッ


ガンッ!!

「えッ!?」

「~~~っ!!」

ドアを開け、急いで出ていこうとしたら角に足をぶつけてしまい声にならない激痛が篠宮を襲う

その場で一旦うずくまったが早くこの場を離れたい方が勝って、足を引きずるように出ていった






「…足、挫いてたんじゃなかったのかよ」

違う

「あと、俺の眼鏡も渡したままだし」

違う

篠宮に言いたかった言葉はそんなんじゃなくて





「…篠宮は悲しくねーの?」


やっと出てきた言葉は、篠宮に届くはずもなく



4月の穏やかな風に流されて桜と共に散った







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