lucky×unlucky
――スタスタスタ―…
―スタスタスタ―…
「…お願いだからついてこないでくれます?」
「別に付いて行ってる訳じゃないしぃ~俺もこっち方面なの~」
俺が隣に並べば篠宮さんは横目で睨み、歩調を速めて先に行く
俺もムキになって早足でそれに追い付く
堂々巡りのように地味な争いをしながらも着々と自宅との距離は短くなっていった
しばらくして自宅のあるマンションへ辿り着き直ぐ様入り口へ向かう
俺の住んでる家はセキュリティがしっかりしたマンションで長い暗証番号と指紋認証は勿論、声認証まであるからかなり面倒臭い
手早く暗証番号と指紋認証を済ませて
「山本恭平」
"ピピッ―認証しました"
最後に機械に埋め込まれたマイクに自分の名前を言えば女性の機械的な声と同時に自動ドアが開き、俺は中に入る
「篠宮杏」
"ピピッ―認証しました"
同じく声認証を済ませてマンションの中に入る瓶底メガネっコ
「………えぇ!?」
篠宮さんも同じマンションだったの!?
余りに衝撃的な新事実に思わず篠宮さんを二度見してしまったが当の本人は何食わぬ顔でだだっ広いフロアの突き当たりにあるエレベーターに乗り込んだ
俺の存在無視ですかι
またムッとして閉まろうとしていたエレベーターに手と足を挟んで半ば強引に入った
篠宮さんは一瞬ビックリしたように目をパチクリさせていたがすぐに俺から視線を外し、呆れたように溜め息を吐いた
「…何階ですか?」
「え?…あー…48階」
50階建ての高層マンションの比較的上に俺は住んでたりする
45階から上は二部屋しかなく、これでもかっ!!っていうくらい広くて設備も充実しているため家賃もそれなりにする
まぁ…俺の場合はマンションの一部屋を買ってるから関係ないんだけど
つまり…俺の家はまぁまぁ裕福だっていう事