lucky×unlucky



「私が嫌だって言ってるんだけど」

「へぇ…逃げるんだ?」

逃げる?

その言葉にピクリと反応する私を目敏く見つけた山本恭平はニヤリと笑う

「俺に勝てないと思ってるから逃げるんだ?」

「別に逃げるわけじゃ…!!」

駄目だ…挑発に乗ったらアイツの思う壺だ

そう頭の中で思っていても要らぬ言葉が口をついて出てくる

「じゃあなんだっていうの?ま、そんなに負けるのが怖いなら俺の不戦勝でも良いけど」

「だ、誰が怖いって言ったのよ!?」

あー…駄目だ

「じゃあこの勝負…」

気がつけば私は机をバンッと叩いて目の前の男を指差していて


「受けてたつわよ山本恭平!!後で泣き言いったって知らないから!!」

清々しいくらいはっきりと言ってハッと我に返ったが後の祭りで…

「交渉成立♪」

「………」




嗚呼…

どうやら


馬鹿なのは私だったようだ

―――……‥






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