lucky×unlucky



「じゃあここでお別れだね。また放課後♪」

「あー…はいはい…」

適当に相槌をうってシッシッと手で追い払う

山本は大して気にしてないのか軽い笑顔を向けた後、自分の靴箱の方へ消えていった



やっと邪魔者が消えてはぁ…と息をつく

時計をみればあと10分でチャイムがなる時間だったのでさっさと靴を靴箱に押し込む

ふと、靴箱の横に置いてある小綺麗な傘立てを見て思い出した

「……傘持ってきてない」

でも制服は汚れてない

それはここまで来るのに何も起こらなかった事を意味する訳で…

カラスに追いかけられなかったし、他の鳥に糞も落とされてない。溝にも落ちてない。勿論マンホールの中にも




「…珍しい事もあるものね」

一瞬山本恭平の顔が脳裏をよぎったがすぐに振り払い、教室の扉に手を伸ばす



「…子犬みたいに可愛い子いるかな~?」

時を同じくして…山本も教室の扉に手を掛けていた


一人は至極面倒くさそうに、一人は浮き足立って


二人はほぼ同時に扉を開けた




ガラガラガラッ――――……‥


何かが始まる音がした









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