lucky×unlucky


「さ、行きましょう?」

「あ、うん」

痛い痛いと嘆く山本を他所に私と苦笑している亮介くんは屋上に何故か置いてある2、3人掛けのベンチに座って昼食を取り始めた

とはいっても、私は山本のせいで購買に行く暇もなく何も持っていない

「あれ、篠宮さんお昼ご飯は?」

隣でミートボールを頬張りながら不思議そうに首をかしげる

「あー…あいつのせいで購買に行けなくて」

「じゃあ俺の食べる?」

ニコッと爽やかに笑い、お箸で玉子焼きを掴むとはい、あーんって持って来るものだから思わず口を開ける

そのまま口に入れられ少し驚きながらも口を閉じて咀嚼する

「ん…美味しい。自分で作ったの?」

砂糖の入った甘めのふわふわ玉子焼き

素直に感想を述べれば嬉しそうにはにかんだ

「うん。親が料理人で俺は長男で一応跡継ぎ。だから練習も兼ねて出来るだけ自炊してるんだ」

「へぇ…凄いね」

本当に山本の友達なのかというくらい真面目な男の子…嫌味のない爽やかな笑顔に好感が持てた

亮介くんの笑顔につられて私も笑うと、亮介くんはピキッと固まった

え、なんで?



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