lucky×unlucky
-山本恭平side-
「…あーあ、篠宮さん行っちゃった」
ドアの方をしばらく見つめた後、亮介はつまらなさそうに溜め息をつく
それは良いんだけどさ
「なんで篠宮さんが亮介を下の名前で呼んでるの?」
どうしてもこれは気になってたんだ~
口を尖らせてキョトンとしている亮介を見れば
「そりゃあ…呼んでって言ったから呼んでくれただけなんだけど」
「卵焼き食べさせてたし」
これもそうだけど
「あれは篠宮さんが弁当持ってきてなかったから…あーんてしたら口開けてくれただけ」
なにより一番の問題は…
「あの篠宮さんが笑ってた」
「あーあれはヤバかっ…「そこでニヤけんな」
「なんだよ…篠宮さんに相手にされないから妬いてるのか?」
フフン…とどこか嬉しそうに俺を覗き見る亮介の顔を片手で押し退ける
「別に…そういう訳じゃない」