黒龍
目を奪われた。
目の前には男の人。
それも今まで見たことのないような、カッコイイ・・・キレイな顔だった。
「・・・んだよ?」
「へっ?」
「人の顔じろじろ見るんじゃねぇ」
「あっ。ごめんなさい」
思わず謝った。
すると後ろから、
「龍騎[リュウキ]今日は、早かったな」
「翼[ツバサ]は、人のこと言えねぇだろ?」
「やっぱり?」
「ああ」
「亮[リョウ]ちゃん冷てぇの」
――なんて呑気な声が聞こえた。
振り返って見ると、また美形な顔の人だった。
金色の髪をした、ヤンチャ系のカッコイイ顔をしたのは、翼っていう人。
その隣の、銀色の髪をした人は少し大人っぽいカッコよさがある亮って人。
そして目の前にいる彼・・・龍騎って人は、真っ黒の髪に漆黒の目をしていた。
ずっと見てたら飲み込まれそうになる。
そんな強さを持った人だと思った。
「なぁ」
「は、はい?」
いきなり声をかけられると、ビックリする。
「いつになったら、どくわけ?」
そう言われてやっと気づいた。
私まだ、この人の上に乗ったままだった。
「あわわっ!?」
焦って、どこうとしてると、
「「プッ」」
噴き出す音がした。
――アハハ
亮と翼って人が、声をあげて笑ってる。
私がどいて、立ち上がった龍騎って人も肩を震わせている。
なんで笑ってんのぉ?